2014年12月09日

実例で見る活字書体「まどか蛍雪M」①

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『リアル・シンデレラ』
(姫野カオルコ著、光文社、2010年3月19日)

なにげなくパラパラとページをめくってみたとき、多くの書籍と同じように本文は近代明朝体だと思った。ところが途中から「まどか蛍雪M」が本文に使われているではないか。一冊丸ごとというわけではないが、半分ぐらいのページは「まどか蛍雪M」で組まれている。近代明朝体で組まれたページと「まどか蛍雪M」で組まれたページが交互にでてくる。
「まどか蛍雪M」が本文に使われているのを見つけたのは、この『リアル・シンデレラ』がはじめてだった。見た目の文字サイズを近代明朝体と同じにするためにか、「まどか蛍雪M」を(プロポーショナルができないので)均等に詰めているようだ。また、祈禱の「禱」などが別の書体になっている。本文での使用についての課題も浮き彫りにされている。
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2014年12月08日

実例で見る活字書体「さくらぎ蛍雪M」①

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農林水産省の新聞広告
(2008年2月25日、27日、29日付朝刊に掲載)

農林水産省の新聞広告で、株式会社博報堂プロダクツの制作によるものだ。3連作になっており、2008年2月25日、27日、29日の朝刊に掲載された。「海外へ依存する食卓のリスクをおさえ、日本にある食材を見直そう」というキャンペーンである。当時、農林水産省では「食材の未来を描く戦略会議」を開催して、国民の意見を募集していたようだ。

Vol.1「未来の食のために、今、できることがあります。」
Vol.2「和の食材だから日本産、というのはほぼ思い込みです。」
Vol.3「おいしいものは、近くにもあります。」

このキャッチ・コピーもそうだが、ボディ・コピーにも選ばれたのは「さくらぎ蛍雪M」である。一読者としてみて、ここは明朝体でもゴシック体でもしっくりこない。「さくらぎ蛍雪M」は肉筆に近く、かつ冷静に訴えかけてくる書体だ。強さもある。いい選択だったと思う。
漢字書体「蛍雪」は中国・清の時代、日本で言えば江戸時代に生まれた書体である。和字書体「さくらぎ」は大正時代の木版教科書の書体である。活字書体として再生したものが、そういった時代性を超えて受け継がれていくというのは心地よい。



清代の刊本字様から復刻した「蛍雪」と組み合わせる和字書体は、大正時代の教科書に用いられた木版印刷字様「さくらぎ」(和字書体三十六景)を選んだ。「清朝体、和字スクールブック、オールド・ローマン」の組み合わせを基本としている。清朝体は、清代の木版印刷字様なので、和字書体は明治期以降の教科書に用いられた楷書体と組み合わされた「和字スクールブック」カテゴリーと合っていると思う。
「和字オールド・スタイル」カテゴリーに属する「はなぶさ」(和字書体三十六景)、「まどか」(和字書体三十六景)との組み合わせも考えられる。「まどか」はもともと楷書活字と組み合わされていた。「はなぶさ」は近代明朝体と組み合わされていたが、清朝体との相性がいいと思われる。
「和字スクールブック」カテゴリーでは、「まなぶ」(和字書体三十六景)や「しおり」(和字書体三十六景)と組み合わせてもいいだろう。
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